かみ合わせ
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かみ合わせと食いしばりの影響
かみしめはほとんどの場合、自覚はありませんが、「上下歯牙接触癖」という習慣です。本来ならば、上下の歯の接触は食事中の1日60分程度です。大部分の時間は唇が閉じていても、お口の中では上の歯と下の歯が離れているのが自然なのですが、中にはお口を閉じている時間にずっと接触させ続けている方がいます。この癖があると、筋肉の活動が持続し、関節を押さえつけ続けるために顎関節症を引き起こすこともあります。
お口を開けるときの痛みや大きなお口が開けにくいといった症状や、歯の痛み、しみるなどの知覚過敏があらわれます。
筋肉への過度な負担によってお口を閉じる筋肉が強ばると、口をあけようとしても閉じる筋肉が緩まず、結果として口が開きにくくなります。また、上下の歯を長時間ぶつけているせいで、歯を支えている歯ぐきや顎の骨に圧力と衝撃がかかり、足首の捻挫や突き指のように、触れるだけで痛いという状況になります。
改善されるまでは、日中奥歯が触れ合わないよう意識するようにすることが大切です。それにはまず、日中は「だらっと力を抜いて」かみしめをなくし、痛みを伴う時期は硬いものを避けて、柔らかいものを、痛くない方だけ使って召し上がってください。日中のかみしめや長時間のガム、テニスやゴルフ、長時間のパソコンや重量物運搬業務、頬杖、うつ伏せ寝、爪かみなどをしないように心掛け、心当たりがあれば、改善するように努力してみてください。
就寝中の歯軋りや食いしばりに要注意です。精神的な緊張や不安のために就寝中の脳の活動性が高いために起こると言われていますので、リラックスしてから眠るように心掛けましょう。眠りが浅いため、朝起きたときに身体の疲れが取れず、強く長時間にわたってかみしめていたために顎の筋肉が疲れて歯も痛み、かみしめる筋肉が頭蓋骨を締めつけるために脳に圧力がかかり、頭痛が強いことがあります。さらに耳鳴り、めまい、首、肩の筋肉の凝りが起きることがあります。
日中奥歯が触れ合わないように意識しても症状が緩和されないようなら夜寝ている間もかみしめている可能性が高いので、クッション性のソフトマウスピースをはめて寝ていただきます。大部分はこれで改善されますが、捻挫などの靭帯炎と同様、改善したと思って気を抜くと、再発が起きやすいので引き続き注意するようにしてください。
かみ合わせ
一昔前は痛いところだけを治療してほしいと言って来る患者さまが多かったものです。前歯にむし歯があれば、そこだけ治療してくれという具合です。けれども診察すると、奥歯もガタガタのことがあるのです。そういうときは、奥歯のかみ合わせからしっかり治療しなければ、前歯はよくなりません。
奥歯あっての前歯ですから、お口全体の力関係の調和とバランスを整えなければならないのです。そのように、お口全体をひとつの単位として治療をしないと、歯はよくならないし、かみ合わせも改善されません。
また、1本1本のかみ合わせは悪くなくても、全体を見たときに上の歯の右側が下がっているとか、平面のかみ合わせが狂っているということがよくあります。そういうところから治していくと、口もとが非常にきれいに見えてきます。
機能美という言葉がありますが、きちんと機能しているものは無駄がなく、形もいいです。歯や歯並びにもまさにそれが当てはまります。きれいに見えれば、かみ合わせもいいし、かみ合わせがよければきれいに見える。美しさと機能性は、切り離すことができないのです。